Poem 

 

 


坊津を訪れた著名人は、好んで坊津八景の唄を詠んだ。

坊津八景・・・鶴崎  深浦  網代浜  田代  中島  松山  御崎  亀ヶ浦

 

          唐カラ舟  一乗院  番所  坊の浜

 

 

 

     鶴崎

 

 

一、鐘の音に、誘われ歩く

  海辺の道は

  潮の香りと、浴衣の君と

  灯台の、紅い光に、照らされて

  十五夜の、歌も響くよ、鶴崎に

 

 

二、恋しくて、叫んだ名前

  波間に消えて

  恋のはかなさ、せつなさ知らす

  囁いた、貝の言葉も、身に染みて

  引き潮の、鶴の嘴、鶴崎よ

 

 

三、優しさに、酔い痴れ見あぐ

  星空悲し

  涙流れて、心も枯れて 

  過ぎてゆく、時の流れに、この思い 

  打ち寄せる、長い浅瀬の、鶴崎か

 

 

 

     深浦

 

 

一、霧晴れて、涙も晴れて

  漕ぎだす舟に

  乗せたいあなたは

  桟橋で、待っているわと囁いた

  深浦の夜

 

 

二、雨降って、恋しさ降って

  寄せ来る波に

  乗り出す愛さえ

  旅立ちの、辛さはないと話してた

  深浦の朝

 

 

三、雪積もり、苦しさ積もって

  流れる川に

  揺られる二人は

  微笑んで、隠した涙信じ合う

  深浦の恋

 

 

 

     網代浜

 

 

一、暑い太陽、追い掛けて

  泳ぐ海の、蒼さに、微笑んだ

  あなたの瞳に、声をかけ

  交わす口づけ、嬉しくて

  心の奥まで、透き通る、網代浜

 

 

二、ゆれるヨットに、身をまかせ

  唄う波の、静けさ、遠くまで

  ひとつに結ばれ、溶け合って

  包む大空、大自然

  流れる時間の、止まる磯、網代浜

 

 

三、歩く砂浜、打ち寄せて

  洗う貝の、可愛さ、輝いた

  手に取り集めた、宝物

  いつかあなたと、訪れた

  二人の想いで、夕焼けの、網代浜

 

 

 

      田代

 

 

一、山の香りを、吸い込んで

  柿の実ひとつ、ほおばった

  あの丘に、あなたと立てば

  飛ぶ鳥の囀り、今でも変わらず

  田代に響く

 

 

二、波の調べを、撫でながら

  愛する言葉、添えてみた

  ふるさとの、想いで巡る

  ぐみの花見つけた、あなたに誓った

  田代は遠い

 

 

三、海の蒼さに、影映し

  ぼんやり眺め、凭れてた

  流れゆく、時間の中に

  ただ二人いるだけ、手を取り歩いた

  田代は今も

 

 

 

      中島

 

 

一、恋しさを、波にぶつけて

  叫んでみても、届かぬこの思い

  そっと、目をやれば

  鉱石船を、迎える中島の

  松はみどりに

 

 

二、愛しさを、花に例えて

  香りを嗅げば、梔子の香り

  涙、隠しても

  淋しさ落ちて、伝わる中島に

  雨は降りゆく

 

 

三、苦しさを、瞑る目蓋に

  ひとりで映し、未来へと耐える

  愛で、温めて

  二人の愛で、包んだ中島の

  波は静かに

 

 

 

       松山 

 

 

一、日が暮れて、家路急ぐ

  子供の声は、谷間に響く

  登る坂道、空まで届き

  溜め息ついた

  紅葉深き、松山の夜は長い

 

 

二、愛ひとつ、摘んでみても

  叶わぬ恋と、烏が鳴いた

  出船入り船、待ってる船と

  涙を耐えた

  愛する人の、松山の恋よいつか

 

 

三、夢求め、走る道は

  遠くに続き、掴めど遥か

  雪の降る日は、力を貯めて

  別れを明日に            明日に・・・あすに

  囀り開く、松山の春はそこに

 

 

 

      御崎

 

 

一、怒る波は、岩場に打ち寄せて

  近づく船を、遠ざける

  寄せては返す、愛の鼓動

  受け止めて、くれよと

  御崎に、舟歌消えてゆく

 

 

二、愛の調べ、静かな昼下がり

  岩場の貝は、戯れる

  愛することの、辛さ流す

  旅人の、涙は

  御崎の、波間に月を待つ

 

 

三、星の光り、夜空に降り注ぎ

  群れてる魚、飛び跳ねる

  寄り添いあって、信じあえる

  漁り火の、燃えてる

  御崎に、私を連れてきて

 

 

 

    亀ケ浦

 

 

一、潮の流れに、身をまかせ

  涙の数も、忘れて生きた

  やっと巡り逢えた、あなた

  安らぎの、あなたへと

  舟を漕ぎ、辿り着いた亀ケ浦

 

 

二、波の彼方に、恋浮かべ

  二人で探す、優しさひとつ

  きっと叶う叶えて、あなた

  強がりの、あなたへと

  飛ぶ鳥が、愛を運ぶ亀ケ浦

 

 

三、貝の囁き、嬉しくて

  肩寄せ合って、抱き締め生きる

  もっと側で支えて、あなた

  淋しさの、あなたへと

  波を受け、夢と結ぶ亀ケ浦

 

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     唐カラ舟

 

 

一、夕焼けに、染まる砂浜

  裸足になって、駆け出して

  過ぎ行く時も、知らず

  忘れかけた愛に、微笑んだ

  あの、唐カラ舟

 

 

二、潮騒の、笑顔包んで

  遠くに投げて、名を呼んで

  恋いする人と、そばで

  虹のような愛を、夢みてた

  あの、唐カラ舟

 

 

三、さよならの、言葉切なく

  涙を拭いて、振り向いて

  手をふる君の、愛と

  いつか逢える愛に、囁いた

  あの、唐カラ舟

 

 

 

     一乗院

 

 

一、悲しくて、見上げた空から、降ってくる

  涙の色が、眩しくて

  目を閉じれば、虫の音が

  古びた校舎に響く

  思い出語る、一乗院

 

 

二、遣切れず、目をやる海には、夕日落ち

  恋する人の、面影が

  愛を締め付け、震わせて

  仁王の像にも聞ける

  愛して燃えた、一乗院

 

 

三、淋しさを、歩いた出会いに、振り返り 

  後悔しても、切なくて

  遅すぎたと、花の香が          香・・・か

  恋した月日を包む

  迎えてくれる、一乗院

 

 

 

     番所

 

 

一、振り向いた、君の髪を

  微風が、撫でてゆく

  綺麗なままで、変わらずに

  いつか又、逢おうねと

  約束した、番所          番所・・・ばんどころ

 

 

二、目を閉じて、そっと交わす

  口づけは、寂しくて

  瞳の奥に、微笑んで

  時を止め、いつまでも

  凭れていた、番所

 

 

三、肩並べ、歩く木陰

  触れ合いが、恥ずかしく

  花の香りも、包んでた

  愛を今、優しさで

  受けとめてる、番所

 

 

 

     坊の浜

 

 

一、砂浜を、駆けだし

  波にぶつかって

  沖まで泳ぐ

  君の姿、懐かしく

  想いで辿る、坊の浜

 

 

二、岸壁を、二人で

  歩き手をつなぎ

  頬寄せ合った

  愛の予感、恥ずかしく

  約束だった、坊の浜

 

 

三、鰹船、なびいた

  旗のもどかしさ

  明日には遠く          明日・・・あす

  沖に出ると、うつむいて

  別れを惜しむ、坊の浜

 

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